2015年03月19日

みなし労働時間と実労働時間

質問

私の会社ではみなし労働時間を使っていますが、その所定時間では仕事が終わりません。
(残業代を支払ってほしいのですが。)

回答

みなし労働時間は、業務に通常必要とされる時間を定めるべきものです。

業務に通常必要とされる時間とは、ふだんの労働で業務を遂行するのに必要な時間です。

したがって、勤務日によって長短があるような実態であれば、平均の労働時間を確認して決定されるべきものです。

所定のみなし労働時間が、ふだんの労働時間の実態と懸け離れているのであれば、妥当な時間を定めるように会社側に求めるべきでしょう。

支払われる賃金が、実労働時間で計算した(残業代も含めた)金額に不足するのであれば、是正を求めましょう。

なお、みなし労働時間を用いても法定労働時間は8時間ですので、残業代の支払い義務は生じます。

posted by アドバイザー at 10:42| 労働時間・休憩 | 更新情報をチェックする

2011年03月06日

法令違反についての家族からの申告

質問

会社員の妻です。夫の勤める会社は残業が多く、給与明細を見るとサービス残業も当たり前になっています。
サービス残業も問題ですが、最近心配しているのが労働時間です。去年の春に昇進してから、一層帰りが遅くなりました。睡眠時間を削ってまで働いているような状態で、夫の健康が心配なのです。

夫に労働時間のことを話しても、「仕事が回らなくなる」とか「こんな景気でも働かせてもらっているんだから、会社には文句は言えない。」といった返事ばかりで、我慢を通すつもりのようです。

私としては、夫の労働時間は長すぎると感じますので、是正を求めたいと思っています。
妻でも役所に申告することは、できるのでしょうか?

回答

監督機関に対する申告については、労働基準法第104条第1項で「事業場に、この法律又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。」と定めています。

つまり、条文上では、労働者本人の申告を認めています。

それでは、家族が申告した場合に対応してもらえるのかどうかですが、労働基準監督署については、対応することを政府が明言しています。

ですので、家族からの申告であっても法令違反が明らかである場合には、事業場に対して監督指導が行われる可能性があります。

仕事での拘束時間のため、労働者本人が申告できない場合もあるでしょうから、家族も申告を活用すべきと考えます。

posted by アドバイザー at 12:17| 労働時間・休憩 | 更新情報をチェックする

2011年02月04日

自宅へ持ち帰る仕事

質問

仕事が多い日には、就業時間内で終えることができません。
会社は残業代を支払いたくないため、残業を指示していないとの立場をとっています。

そのため、職場では仕事を残した場合に、自宅へ仕事を持ち帰ることが日常的になっています。
私が入社したとき、すでに先輩社員も同様であったため、黙って従ってきたような感じになっています。

勤務時間として認めてほしいと思うものの、自宅で仕事を行っているわけですし・・・。
アドバイスをお願いします。

回答

書類を風呂敷で包んで持ち帰るということで、風呂敷残業という言葉もあるようです。(今日なら、データを自宅のパソコンで取り扱うことも可能ですね。)

自宅での仕事が労働時間として認められるためには、使用者の指揮監督に基づく労働であることが要件とされています。
労働者が仕事をするのは使用者との間に労働契約が成立しているからであり、その労働は使用者の指揮命令に基づく必要があります。

つまり、使用者の仕事をしなさいという指示が必要で、労働者が勝手に仕事をすることは労働時間とは認められないというのが原則なのです。

上記の考え方を、今回の質問に当てはめるとどうでしょうか?

労働者が自主的に自宅へ仕事を持ち帰っているようですし、会社が残業を指示していないとの立場をとっているとのことですから、労働時間として認められない可能性があります。

ただ、自宅へ持ち帰ることが常態であるとすれば、自宅へ持ち帰ってくれるから会社の運営が成立する、つまり、自宅へ持ち帰ることが会社の経営上必要な行為と考えられます。(残業の必要性・妥当性も、認められると考えます。)
また、持ち帰り残業などによる過労死や自殺を、業務災害と認定した判決もあります。

したがって、労働時間として認められる可能性があるともいえます。

今回の質問の職場は、労働者の労働時間や安全衛生の管理といった責務を、使用者が果たしていないと考えます。

労使とも労働法令・労働契約に従うことが当然ですので、適正な労働条件・労働環境を確保する必要があると思います。

先輩社員も同様の状態ということですので、労使の話し合いが穏やかな対応でベストなのでしょうが、労使の話し合いができない、あるいは、話し合いでは解決できない状況であれば、行政機関での救済手続きに移行せざるをえないと考えます。

posted by アドバイザー at 18:03| 労働時間・休憩 | 更新情報をチェックする